技能実習制度の現状
政府は、技能実習制度、特定技能制度の見直しをするべく有識者会議、閣僚会議を来秋頃まで何回か繰り返し、その後省庁によって制度改革の具体案を確立していく計画で動き出しました。
技能実習制度を廃止し、特定技能に一本化することも選択肢にしたことを法相が明言したことにより、技能実習制度を運用する側はどうなるのかと注目をしている状況にあります。
現状からすると、新制度発足は再来年になる見込みと読み取れますが、まだ検討をするための計画が発表された段階なので、どうなるか分かりません。
今、監理団体の許可を得る目的で協同組合設立をするべきか?
技能実習制度の抜本的改革に動き出した今、これから協同組合を設立して監理団体の許可を取得しようとする人の動きは鈍くなっている感じはします。
実際、現段階では技能実習制度の行方は分からないのですから、慎重になるのが普通でしょう。
今から(2022年12月)協同組合の設立に向けて動き出し、監理団体の許可を得るまでは約1年くらいかかりますから、監理団体の許可を得るのは来年(2023年)の12月頃になります。
(最短の10か月間で監理団体の許可を得た場合は来年の10月くらいになります。)
来年の今頃は有識者会議、閣僚会議によって絞り込まれた意見や方向性などが関係省庁へ上申され、関係省庁で新制度の内容を確定していく段階です。
そんな背景での協同組合の設立認可申請、監理団体の許可申請の市場動向を、弊社が把握する範囲でご案内致します。
最近の協同組合設立、監理団体の許可申請の動向
あくまで弊社が把握している情報なので、全国的な情報ではありませんのでご了承下さい。
1.やはり協同組合の設立、監理団体の許可申請を諦める人が目立つ
技能実習制度、特定技能制度の行方が分からないということから、監理団体の立上げを辞めるか、制度の行方がハッキリするまで様子を見るという方がいらっしゃいます。
慎重になるのは当然のことでしょう。
ただ、監理団体の運営だけを目的として協同組合を設立するのもいかがなものかとも思います。
そもそも、協同組合は傘下組合員事業者の発展に役立つための経済活動を行う法人です。
外国人技能実習生の共同受入事業だけにしか目を向けないのは組合制度としても良い事ではありません。
2.今のうちに監理団体の許可を取得してしまう
新制度発足後は監理団体の許可申請は厳しくなるだろうから、今のうちに監理団体の許可を取ってしまおうという方もチラホラ見受けられます。
確かに、技能実習制度、特定技能制度は今回の制度改革により、各種申請の審査が厳格化される可能性は高いと思います。
制度改革後も技能実習制度が運用されれば、技能実習制度に関する各種申請は厳格なる新たな基準が設けられるのは容易に想像がつきます。
今から協同組合設立に向けて取り組めば、来年中に監理団体の許可を得るのは可能です。
今から協同組合を設立して監理団体の許可申請をしても良いケース、とりあえず様子見をした方が良いケース
協同組合を設立して監理団体の許可申請は、今は止めておいた方が良いケース
監理団体の許可を得て外国人技能実習生共同受入事業を行う事しか考えてないという人は、今から協同組合を設立して監理団体の許可を得るということは止めておいた方が良いと思います。
今、技能実習制度の見直しに向けて国が動き始めたところです。
法相は記者会見で、外国人技能実習制度を廃止して特定技能に一本化することを選択肢の一つとして検討を進めていく旨の発言がありました。
よって、技能実習制度が廃止される可能性があるということになります。
ましてや、協同組合という法人は、株式会社などの法人と違って1人では設立ができません。
必ず一つの設立趣旨に賛同をする発起人が最低4人必要で、発起人の方々と協力し合って協同組合を設立します。
監理団体が立ち上がってすぐに、その目的の外国人技能実習生共同受入事業ができなくなっては、その協同組合は空中分解は必定となります。
今から協同組合を設立して監理団体の許可申請をしても良いケース
上記の”今は止めておいた方が良いケース”の反対になるので、外国人技能実習生共同受入事業以外の事業も設立する協同組合で行う事を考えているケースとなりますね。
例えば、
組合員事業者のために行う主たる事業を実際に行う事を計画している
外国人技能実習生共同受入事業は、主たる事業としておこなうことができず、あくまで福利厚生的な2次事業として行うことしか認められていません。
しかし、実態としては主たる事業を行う計画はしていても実際には行わず、外国人技能実習生共同受入事業しか行わないという協同組合が多くあります。
技能実習制度の見直しが検討される今、これから協同組合を設立するには実際に外国人技能実習生共同受入事業以外の主たる事業を本気で行うことを考えなければならないと思います。
仮に、技能実習制度が廃止になったとしても、主たる事業を行うことで設立した協同組合の存在意義は残ります。
主たる事業としては、共同販売事業、共同購買事業、共同受注事業、共同検査事業などがあります。
例えば、イメージしやすい事例でいうと、道の駅のような農産物水産物などの直売所を協同組合で運営して共同販売事業を行うというもの。
農家や水産加工業者、パン屋さんに総菜屋さんなどが集まる異業種団体になります。
協同組合で特定技能制度の登録支援機関の事業を行う事を計画している
技能実習制度がダメになったら特定技能でっていう単純な話なのですが、市場的に言うと技能実習制度と特定技能制度は密接な関係にあるので合理的な考えだと思います。
技能実習2号を良好に満了した外国人は、同職種であれば特定技能1号として引き続き就労が可能になります。
※ 特定技能制度に対応しない職種で技能実習の職種の場合は不可
また、技能実習を満了した外国人を同じ事業者の下で引き続いて特定技能として就労してもらうケースは定着率が良いという事例を多く耳にします。
これこそが、外国人を雇入れる事業者と就労する外国人
双方WinWinになるサクセスロード的なものになっています。
このようなことから、技能実習制度の見直しが検討する今でも協同組合設立をする方々がおります。
まとめ
技能実習制度の見直しが検討されている中、協同組合の設立、監理団体の許可申請の状況は2極化している。
- 技能実習制度、特定技能制度の改革状況を見て様子を見る。
- 技能実習制度が廃止になっても他の事業を行う計画があるので協同組合の設立と監理団体の許可申請を行う。
制度改革後は監理団体の許可申請要件が厳しくなると予想されるので、今のうちに監理団体の許可を取得しようと考える方々も少なくない。
これから協同組合設立と監理団体の許可申請を行わない方が良いケース
ずばり! 協同組合設立の目的が外国人技能実習生共同受入事業しか行う考えが無い場合。
これから協同組合設立と監理団体の許可申請を行っても良いケース
下記のいずれかのケースであれば協同組合設立と監理団体の許可申請を行っても良いと思います。
- 外国人技能実習生共同受入事業以外の事業も行うことを計画している。
- 特定技能外国人の支援事業(登録支援機関)を行う事を計画している。
>>> 協同組合(監理団体・特定技能登録支援機関)設立サポート


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